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脳卒中亜急性期患者の下肢機能に対する全身振動刺激療法の効果

Effect of whole-body vibration therapy on lower extremity function in subacute stroke patients.

Head Neck.

Jin Wan Kim , Jong Hwa Lee

2021. 17(3):158-163.

PMID: 34285892 PMCID: PMC8257441 DOI: 10.12965/jer.2142246.123


No.2022-04

執筆担当: 関西福祉科学大学 植村 弥希子

掲載:2022年2月24日


【論文の概要】

全身運動刺激(Whole Body Vibration; WBV)は筋のパフォーマンスを向上させ、歩行機能を改善する可能性があるといわれている。今回、初発脳卒中発症後2か月以内の亜急性期患者に対しWBVの効果を検証した。計38名が参加し、それぞれ20分の理学療法と45回のスクワットを1日2回、週に5回、計10回実施した。なおWBV群は理学療法やスクワットをWBV(周波数16Hz、強度40)の台の上で行った。介入後、股関節、膝関節の屈曲、伸展筋力、Berg Balance Scale (BBS)、10-m歩行テスト(10MWT)、Timed Up and Go Test(TUGT)を測定し、Functional Ambulation Category (FAC)を評価した。下肢筋力およびBBS、10MWT、FACはいずれの群も有意な改善を認めた。改善率で比較するとWBV群でBBS、10MWT、FACで有意な改善を認めたことから、WBVの併用は脳卒中亜急性期患者のバランス機能ならびに歩行機能の改善をもたらす可能性がある。


【解説】

WBVは筋紡錘およびα運動ニューロンを刺激し、緊張性振動反射を生じさせ、その結果、筋出力が改善、姿勢制御、バランス機能が改善すると考えられている。変形性膝関節症患者1)やパーキンソン病患者2)においてWBVの併用が筋力やバランス機能を改善すると報告されている。一方で、WBV単独では運動療法と比べ身体機能の改善は認めていない2)ことから、WBVと運動療法の併用が身体機能改善に効果があると考えられる。本研究においてはWBV単独群との比較はされていないが、運動療法との併用がよりバランス機能を改善していることから、WBVは効果的な補完療法になりうる可能性が示唆された。一方で、脳卒中患者に対するメタアナリシスではバランス改善効果を認めなかった(BBS:SMD=-0.08, 95%CI=-1.35 to 1.19, P=0.91)3)と結論付けている。しかしWBVの使用方法や対象については一定の見解を得られておらず、今後さらなる検証が必要と思われる。


【引用・参考文献】

1) Lai Z., Lee S., Hu X., et al. Effect of adding whole-body vibration training to squat training on physical function and muscle strength in individuals with knee osteoarthritis. J Musculoskelet Neuronal Interact. 2019; 19: 333-41.

2) Molina ED., Barron-Gamez CE., Bellmann IE., et al. Comparison of the effect of whole-body vibration therapy versus conventional therapy on functional balance of patients with Parkinson's disease: adding a mixed group. Acta Neurol Belg. 2021; 121: 721-28.

3) Yang X., Wang P., Liu C., et al. The effect of whole body vibration on balance, gait performance and mobility in people with stroke: a systematic review and meta-analysis. Clin Rehabil. 2015; 29: 627-38.


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