Effects of neuromuscular electrical stimulation on glycemic control: a systematic review and meta-analysis
Michael J Sanchez, Ali Mossayebi , Solmaz Sigaroodi, Jehu N Apaflo, Michelle J Galvan , Kisuk Min, Francisco J Agullo, Amy Wagler, Sudip Bajpeyi
PMID: 37583429 PMCID: PMC10424918 DOI: 10.3389/fendo.2023.1222532
No.2024-01
執筆担当:医療法人富田会 富田病院 木村 文彦
掲載:2024年1月4日
【論文の概要】
神経筋電気刺激(NMES)は筋収縮を誘発する効果的な方法であり、特に身体障害や代謝性疾患を有する患者に有効とされるが、血糖コントロールの改善に対する有効性は不明である。本研究は血糖コントロールに対するNMESの有効性を明らかにすることを目的にシステマティックレビューを行った。結果、35の研究がシステマティックレビューの包括基準を満たし、そのうち9研究がメタ解析の対象となった。既存のエビデンスでは、NMESが主に2型糖尿病、肥満、脊髄損傷等の中高年患者において血糖コントロールを効果的に改善することが示唆されていた。メタアナリシスは180人の参加者から構成され、NMES介入により空腹時血糖が低下したことが報告されている。各研究で報告された主要指標(OGTT,HOMA-IR,空腹時血糖)を用いた追加解析でも、血糖コントロール改善に対するNMESの有意な効果が確認された。しかし、プロトコールは研究によって異なっており、今後は標準化が必要である。本研究によってNMESは、身体障害および代謝障害を有する 患者における血糖コントロールを改善する治療戦略として考慮される可能性が示された。
【解説】
本論文はNMESによる血糖コントロールの有用性を示したものである。糖尿病に対する運動療法は血糖コントロール等に有効とされており高齢者糖尿病診療ガイドライン2023においても、強く推奨されている1)。(推奨グレードA)しかし、臨床場面において運動療法が困難な例も多く代替手段としてNMESが広く用いられている。本邦でもその効果検証として、基礎的研究においてNMESによる筋肉の糖取り込み促進作用2)や、食後高血糖を抑制する効果3)などが報告されている。また、近年ではⅠ型糖尿病に対しての血糖降下作用の報告もされており4 )、今後も臨床活用すると共に、その効果検証についても注目していきたい。
【引用・参考文献】
1)高齢者糖尿病診療ガイドライン2023 page129
2)Hamada T,Sakaki H,Hayashi T,Moritani T, and Nakao K: Enhancement of whole body glucose uptake during and after human skeletal muscle low-frequency electrical stimulation. J Appl Physiol 94:2107-2112,2003
3)Miyamoto T,Fukuda K,Kimura T,Matsubara Y,tsuda K, and Moritani T: Effect of percutaneous electrical muscle stimulation on postprandial hyperglycemia in type 2 diabetes.Diabetes ResClin Pract 96: 306-312,2012
4)Fatemeh Fallah, Morteza Alijanpour, Soraya Khafri, Mohammad Pournasrollah & Ghadam Ali Talebi.The effect of neuromuscular electrical stimulation on serum glucose levels in children and adolescents with type-1 diabetes mellitus: a single group clinical trial.BMC Endocrine Disorders volume 22, Article number: 246 (2022)